Note of Pediatric Surgery

腸内細菌、R、ときどき小児外科

小児水腎症の評価のための利尿レノグラム

1. 特徴

  • 利尿負荷後のレノグラムのパターン ( washout curve ) によって閉塞の有無や程度を評価する
    • 通常のレノグラフィでは軽度の水腎症でもレノグラムのカーブは閉塞パターンを示してしまうことが多いため利尿負荷をかける
  • 分腎機能と尿路通過障害の評価を行うために重要な検査
  • 再現性のある評価を行うためには適切なプロトコールが重要

2. プロトコール

2-1. Well tempered diuretic renogram protocol

  • 十分な経口摂取
  • 核種投与15分前からNS 15 ml/kg/h 30分 + 8 ml/kg/hで維持
  • 自立排尿が確立されていない乳幼児では尿道カテーテルを留置

2-2. 周産期、乳幼児期に発見される腎盂腎盂尿管拡張の診断基準の利尿レノグラフィ実施のための標準プロトコール

2-3. 核種

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99mTc-DTPA

  • 糸球体で濾過さる ( GFR物質 )
  • 分子量500の金属キレート剤
  • 蛋白結合‘性が微量に ( 3 - 5% ) 認められる
  • 血液中の細胞内へのわずかな移行を認めるため純粋なGFR物質ではない
  • 扱いやすさと画像が描出できることから臨床的に用いられることがある

参考 : 理想的なGFR物質

  • 蛋白結合性が低い
  • 糸球体で穂過され尿細管での分泌再吸収を受けずに尿中に排池される
  • イヌリンがその条件に最も合致している
    • 日本国内では医薬品として認可されておらず原則的に使用はできない

99mTcMAG3

  • 近位尿細管で分泌される
  • 蛋白結合率が高く、赤血球接種率が低い
    • GFRが低い
    • MAG3によるERPFは大部分が近位尿細管での分泌機能を反映したものになる
  • イメージングに優れ半減期が短く扱いやすい99mTcを標識物質にしている
    • 良好な腎尿路画像が得られる
    • 濃縮力の低い乳児にも適した物質
    • 腎動態検査の主流となりつつある
  • 通過障害の症例が多い新生児でも血中からのクリアランスが早く、レノグラムパターンの觀察が容易

2-4. 利尿薬

  • Furosemide
    • 1歳未満 : 1.0 mg/kg
    • 1歳異常 : 0.5 mg/kg
  • 投与のタイミング
    • 使用核種をivする前
    • 使用核種をivする時
    • 使用核種が腎盂で充満する頃

3. 評価項目

3-1. 正常のレノグラムパターン

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1. 血流相

  • 腎血管に放射性物質が分布するタイミング
  • 急激にcountが上昇する
  • 10-20秒から30-60秒

2. 機能相 ( 分泌層 )

  • 尿細管へと移行するタイミング
  • 血管相に続く比較的緩やかな上昇部
  • 尿細管細胞による摂取・集積と尿細管管腔への分泌による腎実質への分布
  • 約3分間続く
  • 尿量による影響はない

3. 排泄相

  • 腎盂・尿管に排泄されるタイミング
  • 尿量・尿の通過状態・体位が影響する

3-2. 異常のレノグラムパターン

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  • 通過障害の1つの指標であるT1/2 ( 半減期 ) を使用して評価する
  • 尿路から使用核種が半減するまでの時間だが様々な方法がある
< 15分 : 拡張型 ( 腎盂腎杯の拡張はあるが閉塞なし )
15 - 20分 : 境界型 ( 閉塞の有無は判定できない ) 
> 20分 : 閉塞型 ( 明らかな閉塞がある ) 

スロープ法

  • 尿路に拡張を持つ小児の場合、放射能活性の絶対値をみると検査時間を60分間にしても半減しないことがある
  • この場合、T1/2は無限大と判定され実状に合わない
  • スロープ法のほうが絶対値によるT1/2よりも感受性が高く実状を反映するとされる
  • 利尿剤投与後の最初の急峻な減衰曲線に接線を引き、Cmax からC1/2までの時間を求める

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  1. 正常
  2. 閉塞型 ( 水腎症型 )
  3. 機能低下型
  4. 無機能型

3-3. 分腎機能

腎摂取率

f:id:Razumall:20180313153926p:plain * 静注後1-2分 ( = 分泌層 ) での積分値を求めて左右の比を求める

GFRとERPF

  • GFRとERPFは相関する

3-4. 利尿薬に反応はあるが遷延する場合

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  • 腎盂が非常に大きい場合に起こりうる
  • 腎実質から排泄され、腎盂内に貯留した放射性医薬品の一部は利尿薬に反応してwashoutされるが、残りが腎盂内にとどまるため
  • 通過障害ではないため手術の適応とはならない
  • 尿の停滞による尿路感染症や結石の原因となる

4. 問題点

  • 患側腎の機能が著しく低下している症例では信頼度が低い
    • 総腎機能の20%以下
  • 偽陰性は稀
    • DRが非閉塞性パターンであれば閉塞はないと言っていい

偽陽性が少なくない

  • DRが閉塞性パターンを示しても閉塞がないことがある
  • 乳幼児期は腎盂壁のコンプライアンスが高く、真の通過障害がなくてもwashout patternが遷延する
    • 腎盂拡張が著明な状態
    • 利尿が不十分な状態
    • 膀胱充満時やVURが存在する場合
      • 膀胱充満は尿管の蠕動を鈍らせ、機能的通過障害となる
      • 乳児は反射的に排尿するが、学童期には検査台上ではいにょうしづらい
      • 尿道カテーテル挿入を躊躇してはいけない

参考

小児泌尿器科ハンドブック

小児泌尿器科ハンドブック

小児腎臓核医学

小児腎臓核医学

ggplot2でviolin plotとdotplotの両方で可視化する

今回はこんな感じのグラフを描けるようになることを目標にします。

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0. はじめに

第68回TokyoRは盛況に終わったようです。地方都市に住んでいる自分はなかなか参加できず ( ドタキャンして大変申し訳ありません ) 、運営のみなさんが流してくださったツイキャスやスライドなどを見て勉強しております。Togetterにもまとめられています。

togetter.com

さて、データの可視化の話題でgeom_violinの話になった時に、@yutanihilationさんが呟いていたグラフが気になったのです。

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興味のある遺伝子を他のどんな種類の細菌が保有しているかBLASTNと{rentrez}を使って調べる

0. はじめに

ここでは興味を持った細菌の遺伝子、もしくは遺伝子配列を、どんな種類の他の細菌が持っているのかを知りたい時にやってみたことをまとめておきます。

  1. KEGGNCBIでシーケンスを取得
  2. BLASTNで検索
  3. Rの{rentrez}で情報を整理

という感じになります。

尚、この記事を書くに当たってはTwitter@sai_kai_csさんにめちゃくちゃ助けてもらいました。ありがとうございます。

例としてフラクオリゴ糖という糖を分解するのに必要な酵素である beta-fructofuranosidase ( K01193 ) を使っていきます。これはもともとBifidobacteriumなどが多く有することがわかっております。ここでは、論文などを読んでBifidobacterium breve UCC2003というstrainの持つbeta-fructofuranosidaseに興味を持ったとします。そこでBifidobacterium breve UCC2003以外のstrain、もしくは他のspeciesで、beta-fructofuranosidaseの遺伝子を有する細菌がいないか、調べる方法を記載してみます。

この記事では既知の遺伝子の配列を使っていますが、配列さえ同定できていれば、自分で同定した未知の遺伝子でも同じワークフローで検索できると思います。

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{vegan}を使った菌叢解析の階層的クラスター分析とクラスタリング

0. はじめに

菌叢解析をしているとUnifrac distanceなどを計算して、各被験者の菌叢の全体像を被験者間で比較する必要 ( Beta diversity ) があると思います。またその全体像に違いがあった時に同じようなグループをまとめて1つのグループとして扱いたいときがあると思います。そんな時に必要になる手順をまとめてみました。具体的には階層的クラスター分析と{cutree}によるクラスタリングについてまとめてみました。参考になればと思います。

基本的にはRのパッケージ{vegan}のtutorialを参考にして書いています。このtutorialはRで菌叢解析をするなら読んでおいて損はないと思います。

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Word 2016でEndNoteのツールバーが消えた時の対応

論文を書こうと思ってWordを開いてたら、いつの間にやらEndnoteとの連携が解除されていました。実は今までも同じようなことがあって、何度も検索を繰り返しているので、備忘録代わりにメモしておきます。何か不安定ですよねーWordとEndNote。

結論から言うと、Word Version 16.XXは現段階ではEndnoteのCWYW ( Cite While You Write ) に対応していないようです。

まずは僕の環境を書いておきます。

MacBook Pro (Retina, 13-inch, Early 2015)
macOS High Sierra Version 10.13
Microsoft Word Ver 16.8
EndNote X7.7.1
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