Note of Pediatric Surgery

腸内細菌、R、ときどき小児外科

EJPS: 未熟児におけるNECとSIPの進行に関連する急性絨毛膜羊膜炎に対する胎児反応としての血管炎

Vasculitis as Part of the Fetal Response to Acute Chorioamnionitis Likely Plays a Role in the Development of Necrotizing Enterocolitis and Spontaneous Intestinal Perforation in Premature Neonates

Eur J Pediatr Surg DOI: 10.1055/s-0034-1373849

Background

NEC(necrotizing enterocolitis)とSIP(spontaneous intestinal perforation)は未熟児の消化管穿孔の原因となる ・この2疾患が急性絨毛膜羊膜炎(ACA)と関連しているということが報告されている

Aim

・この研究の目的は、胎盤の組織病理学的異常との当施設出生の未熟児におけるNEC/SIPに組織病理学的な関連があるかどうかを検証することである

Patient and Methods

NEC/SIPと診断された症例を集積した ・症例は、生後7日以内に臨床的/組織学的に診断された症例、未熟児であること、胎盤の組織学的検索が行われているものとした。 ・ACAを伴った症例に関しては、CD34の免疫染色と、Martius scarlet blue染色を施行した ・診療録を用いた後方視的検討 ・年齢分布、臨床因子、臨床転機に関して検討した ・統計学的処理はFisher検定を施行した

Results

・21症例が上記基準を満たした ・12例がNEC、8例がSIP、1例が混合型 ・平均在胎週数は27週 ・診断時の日齢の中央値は5日 ・21例中16例(76.2%)の胎盤組織にACAの所見が認められた ・ACA症例のうち、13例(81.3%)に臍静脈炎、12例(75.0%)に臍動脈炎、6例(37.5%)に臍帯炎、12例に慢性血管炎の所見を認めた ・ACAの診断と臨床転機に有意差は認められなかった(Fisher検定) ・ACAのうち後にNEC/SIPを発症した14例は、臍帯と絨毛膜板、絨毛の血管構造に血管炎を認めていた ・ACAと血管炎の関連は非常に大きい(p<0.01) ・ACAの胎盤病理所見において、12例(75%)はfetal inflamatory responseの中等度から高度の所見であった ・一方で13例(81.3%)はgrade2(重症)であった ・8例(50.0%)は胎盤内もしくは臍帯の血管構造にフィブリンの沈着や早期血栓形成などといった所見が認められた ・これらは著名な血管炎に伴う血管内皮障害と関連している

Conclusion

NEC/SIPはFetal inflamatory responseの一部分としての血管炎を伴うACAと密接に関連している ・胎盤内血管の内皮障害によりフィブリン沈着の促進が進むことは、出生後早期のNEC/SIPと関連があるかもしれない