Hirschsprung病の術式
1. 手術の原則
- 無神経説腸管の切除
- アカラシアを示す内肛門括約筋への対処
2. 三大手術の概要
* A, Soave. B, Swenson. C, Duhamel
3. 術式の選択
4. Swenson
- Rectosigmoidectomy
- 超低位前方切除術
- 無神経節腸管の完全切除
- 経肛門的Swenson法も報告されている
- 治療成績の報告は少ない
- TAEPTとことなり歯状線0.5-1.5cmの最初の切開で筋層外に入る
- 術後排尿傷害の可能性
- 直腸筋層が残らないため肛門管アカラシアは起こりにくい
5. Duhamel
- Retrorectal pull-through
原法
- 直腸前壁とpull throughした結腸後壁を圧挫吻合する
- 骨盤内の剥離が少なく吻合部狭窄も少ない
- 直腸盲端部がblind pouchとして残ってしまう
- 直腸結腸吻合部の隔壁が遺残する
- fecalomaによる直腸狭窄や便秘
変法
- 池田によるZ型吻合術 + 自動縫合器を用いた隔壁を切離
- Blind pouchが作成されない
- TAEPTが普及するまでは、ほぼ第一選択だった
6. Soave
- Endorectalpul1through
- 粘膜抜去した直腸筋層筒内に結腸をpull thoughする
Traansanal endorectal pull-through
- TAEPT
- 開腹手術で行われる腸問膜の処理と下部直腸の剥離が最小限ですむ
- 排便機能に重要な役割を果たすといわれる骨盤神経叢直腸枝の一つである、直腸壁に沿って腸間膜を上行する枝の損傷を最小限に止める
- 原法はLong cuffを作成していたが狭窄の原因になるためshort cuffが最近の主流
- さらに直腸筋層の後壁に切開を縦に加えてアカラシアを解除する
直腸筋層筒の作成法
Georgeson
- 肛門内で歯状線の直上で全周性に粘膜切離
- 粘膜菌相関の剥離をクチ側に進めて粘膜抜去を行う
Morikawa ( Prolapsing法 )
- 直腸を肛門外に翻転重積させる
- 肛門外で直腸を離断
- 翻転した直腸の粘膜抜去を外側から行う
長所
- 整容面
- 術後合併症は24.5%と他の術式よりも低いとされる
- 術後排便機能は良好であるとする報告が多い
短所
- continenceが不良であるとする報告も多い
- 肛門括約筋の過剰伸展
- Dentate ]ine直上での低い位置の縫合による粘膜感覚神経の損傷の可能性
- 頻回排便のための肛門の糜爛、腸炎、肛門狭窄
7. 術後管理
- 便秘は薬物療法に反応しやすい
- 失禁のコントロールは非常に困難
- 術後早期は排便回数が多い
- 排便回数が減り、術後数ヶ月で便秘傾向を示す
- 術後腸炎やoverflow incontinenceの原因となる
- 排便が自立する3-4歳までは緩下剤や浣腸が必要
8. 参考
- Pediatric Surgery
- スタンダード小児外科手術
- 機能検査法から見たヒルシュスプルング病に対する手術術式の比較 経肛門的Soave法と開腹池田Z法
- Hirschsprung病に対する低侵襲手術