Note of Pediatric Surgery

腸内細菌、R、ときどき小児外科

メトロニダゾールの懸濁法

メトロニダゾール(フラジール®)は水に溶けにくい薬剤です。マウスに溶解させたメトロニダゾールを経口投与したかったのですが、なかなか難しそう。酢酸などでpHを調整すると溶解できるようですが、酢酸自体も腸内細菌に影響を与えてしまうため、なるべく水がいいということで調べてみました。

Googleで検索をかけると各病院の簡易懸濁法で処理できる薬剤のリストがたくさん出てきます。まずそもそも簡易懸濁法とは何なのか?恥ずかしながら知りませんでした。検索すると簡易懸濁法研究会のHP ( そんな研究会もあるんですね… ) がヒットしました。

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簡易懸濁法とは、錠剤やカプセルを粉砕・開封せず、そのまま温湯に入れ崩壊懸濁させたあと経管投与する方法です。2001年に本方法の紹介と共に適用可能な医薬品の一覧を掲載した「内服薬 経管投与ハンドブック」が発売されて以来、多くの施設で簡易懸濁法は実施されてきました。さらに2006年4月に改定された「第十二改定 調剤指針 」にも「簡易懸濁法」として項目が追加され、現在広く認知・実施されるまでになりました。

とのこと。恐らく病棟看護師の間では常識なのでしょうね。温湯って何度くらいだろう?ってことで調べると、こちらのサイトに55℃くらいと記載がありました。2)

さてフラジール®に対する簡易懸濁法の適応ですが、Googleでヒットした薬剤リストのうち3つくらいを比べてみると

http://www.anzu.or.jp/ichinomiyanishi/department/pdf/pdf_drug01.pdf

www.ntmc.go.jp

http://www.kure-kyosai.jp/vcms_lf/kahihyou.pdf

3) : 不適、光に弱いため投与直前に粉砕、粉砕後温 4):調剤時に粉砕すれば投与可、遮光すると良い 5):直前に粉砕、遮光、温度の安定性のデータはない 6):ハンドブックでは不可、苦味、なるべく細かく

とのこと。厳密には簡易懸濁ではないけど、粉砕投与で薬理学的には許容できるということでしょうか。

というわけで、やってみましたがそもそも実験で使うメトロニダゾールって粉なんですね。100mgあたり100mlの水に懸濁しましたが、60℃くらいに加温しながらスターラーバーで懸濁すると1時間もしないうちに溶けますね。めでたしめでたしと。