小児固形腫瘍の腫瘍マーカー
はじめに
小児固形腫瘍では、腫瘍マーカーが診断においても非常になってきます。成人固形腫瘍とはやや感覚が違うような印象もあります。あまり横断的に勉強することは少ないので、まとめておきます。少しずつ追記していきます。
1. HVA / VMA
- 言わずと知れた神経芽腫のマーカーですが、同じく交感神経系の腫瘍である褐色細胞腫でも上昇します。
Pediatric Surgery / Coran
- 90%でカテコラミンと副産物の値が高値となる
- 神経芽腫の分化度が低いとHVAが、分化度が高いとVMAが高値となりやすい
- 副交感神経から発生した神経芽腫の報告があり、Achを分泌していた
- CEAは25%に陽性
- フェリチン:StageIVの63%で高値であり、予後不良因子、特に2歳以上の女児で顕著
- NSE:遠隔病変がある96%で高値となり、予後不良因子、乳幼児で顕著
- LDH:限局した神経芽腫で高値だと予後不良
神経芽腫の臨床像の概要 / 高橋 寛吉
【尿を科学する】 尿検査各論 副腎機能検査における尿検査 VMA、HVA、コルチゾール、17-OHCS / 宮森 勇
VMA
- アドレナリン、ノルアドレナリンの最終代謝産物
- バナナや柑橘系、アイスクリームを大量に摂取すると偽陽性となる
- Shy-Drager症候群や家族性自律神経失調症では低値となる
- 高速液体クロマトグラフィーによる随時尿での測定が可能に
- 尿中クレアチニンとの比を取ることにより測定、単位はμg/mg Cre
- 点滴中では誤差が大きくなりがち
- Down症候群、先天性心疾患、アトピー性皮膚炎では生理的高値を示す
HVA
AFP
- 小児肝腫瘍を鑑別する際に重要となってきます
Pediatric Surgery 7th edition / Coran
- 腫瘍マーカー:AFP、βhCG、フェリチン、CEA、VMA、HVA
- 肝炎ウイルスマーカー:HAV、HBV、HCV、EBV
AFPは90%の肝芽腫、50%の小児HCCで上昇する
AFPの上昇は必ずしも悪性腫瘍を示唆しない
- AFP<100の肝芽腫は予後不良因子である
一方、高分化型、胎児型などのfavorable histrogyではAFP上昇しないこともある
新生児の肝臓はAFPを産生しているため、高値が正常
- 最初の数ヶ月で値は低下し、少なくとも1歳までには成人の上限である10ng/ml以下になっている
- 新生児期の肝外傷の回復期でも高値を示す
- 乳児期の血管腫や間葉性過誤腫と言った良性腫瘍でもAFPは上昇することがある