Note of Pediatric Surgery

腸内細菌、R、ときどき小児外科

PSI: 新生児と幼児の複雑性中腸軸捻転の早期診断

Early prediction of complex midgut volvulus in neonates and infants

Pediatric Surgery International
June 2014, Volume 30, Issue 6, pp 579-586
Ilias Kanellos-Becker, Robert Bergholz, Konrad Reinshagen, Michael Boettcher

Introduction

・1歳以下の新生児、幼児における中腸軸捻転の予後は依然として悪いままである ・腸管の血流障害をきたすまで臨床所見が明らかでないことが多いのが一つの要因である ・複雑性中腸軸捻転を予測する因子を特定するのが、この研究の目的である (恐らく複雑性中腸軸捻転というのは腸管切除が必要になるということと思われる)

Methods

・方法:後方視的検討 ・単施設研究 ・対象:1歳以下で中腸軸捻転の治療を受けた小児 ・期間:2002年1月から2011年12月 ・現病歴、症状、血液検査、放射線検査、合併症を評価

Results

・37症例が基準を満たした ・43%に合併症、16%が死亡している ・30%(複雑性19%/単純性38%)が突然の全身状態の増悪、腹部膨満という症状のみだった ・単純性の1例では、臨床症状、放射線所見、血液検査はすべて陰性であった ・CART分析の結果、BGAでBE<-1.70と37週未満の出生が単純性と複雑性を識別するのに最も良い指標であった ・複雑型の前例、単純型の14%が1pt以上(2要素が合致)であった(p<0.001) ・1pt以上をcut offにすると、感度100%(81.7-100%)、特異度85.7%(71.8-85.7%)であった ・陽性尤度比は84.2%、陰性尤度比は100%

Discussion

・中腸軸捻転は重症合併症および致死率が高いことがわかった ・残念ながら、病歴と血液検査、放射線検査ではすべての症例を診断できない ・しかしながら今回提案したスコアを用いれば、合併症のリスクが高い症例を判別できる ・複雑性中腸軸捻転の診断を容易にし、重症合併症と致死率を下げられるかもしれない

Comment

Sickな胆汁性嘔吐およびmalrotation+midgut volvulsは超緊急手術なのは自明ですが、では全身状態が良い症例を緊急でやるのか、翌日やるのか、定期に組み込んでやるのか、という自分のスタンスはよくわかっていません。BEと37週未満は一つのdecision makingの根拠になりうるかもしれませんね。