Note of Pediatric Surgery

腸内細菌、R、ときどき小児外科

{dplyr}のパイプの中でNAを0に置換する

Rにおいて欠損値NAを0に変換するのは、Rを覚えたての頃につまづくことのうちの1つじゃないかと思います。いろいろ方法はあると思いますが、{dplyr}を使ってパイプの中で処理をする方法はあまり見つからなかったので、まだまだビギナーの自分にとっては結構大きい知見だったので共有しておきます。あまり大した知識ではないですし、常識なのかもしれないけど。

1. パイプ演算子を使わない方法

恐らく、パイプ演算子を使わないのならばこの方法が一番楽かと思います。

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小児外科研修をはじめた人に贈りたいおすすめ参考書

小児外科

標準小児外科学 第7版 (Standard textbook)

標準小児外科学 第7版 (Standard textbook)

おすすめ度 ☆☆☆☆☆ 小児外科専門医の筆記試験に合格するためには、これを丸一冊暗記すれば受かると言われて一生懸命読みました。確かに臨床上、最低限必要なことは記載されていますし、しっかりした本だと思います。ただ和書では系統小児外科学 の方が記載が多く内容も充実しており捨てがたいところですが、どうせ成書を買うなら下記のPediatric Surgeryを買った方がいいのでは?と思っています。

スタンダード小児外科手術

スタンダード小児外科手術

Operative Pediatric Surgery, Seventh Edition

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Pediatric Surgery, 2-Volume Set: Expert Consult - Online and Print, 7e

Pediatric Surgery, 2-Volume Set: Expert Consult - Online and Print, 7e

  • 作者: Arnold G. Coran MD,N. Scott Adzick MD,Thomas M. Krummel MD,Jean-Martin Laberge,Robert Shamberger,Anthony Caldamone MD
  • 出版社/メーカー: Mosby
  • 発売日: 2012/02/28
  • メディア: ハードカバー
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ggplot2で開始と終了がある期間データを帯グラフで表現する

はじめに

今度の学会で外来患者の長期フォローアップをまとめて発表します。そこでggplot2で開始日付 ( 初診日 ) と終了日付 ( 最終受診日 ) のあるデータの期間を、帯グラフで表現したかったのですが、日本語でのまとまった記事がなかったので書いてみました。StackOverflowの記事から参考に書きます。

stackoverflow.com

最終的にはこのようなグラフを書けることを目標にします。結論からするとgeomline()で普通にかけるんですが…すみません。

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{KEGGREST}でKEGG pathwayのどのorthologyに差があるのか調べる

はじめに

だいぶ時間が経過してしまいましたが、前回、こんな記事を書きました。

pediatricsurgery.hatenadiary.jp

PiphillinなどでpathwayやKEGG orthologyの予測メタゲノムデータを得た後の解析は多々あると思いますが、変動しているpathwayの中で自分に興味深いものがあったとします。その中で、どこの遺伝子が実際に動いているのか?ということを明らかにする方法を記事にしてみたいと思います。

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脂肪酸と新生児の消化吸収

新生児における脂質の消化吸収

  • 糖質・たんぱく質より消化吸収能が未熟
  • 正期産時で10-15%、早産児 ( 32-34 ) で25-35% が吸収できず排泄される
  • 成人並になるのは生後数ヶ月経過してから
  • 原因は
    • 胆汁酸のプールが少ない = 胆汁酸そのものが少ない
    • 膵リパーゼ活性が少ない
      • 成人の1/10以下
      • 新生児では唾液リパーゼが主な役目を果たす
      • お乳中の母乳胆汁酸活性リパーゼも関与する
  • 新生児・特に未熟児ではMCTの方が消化吸収に有利
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16S rRNA遺伝子解析の限界と予測メタゲノム解析 - Piphillinの導入

16S rRNA遺伝子解析の限界

16S rRNA遺伝子解析 ( 個人的には16S rRNA gene amplicon sequencingが正しい用語だと思っています )の発達と普及によって腸内細菌叢の研究は飛躍的に進み、今まで知りえなかった腸内細菌という臓器に関する新たな知見をたくさん生み出してきました。しかし16S rRNA遺伝子解析で直接わかるのは菌の構成割合だけで、それがどう宿主に作用しているのか?ということまでは明らかにすることができません。

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ELISAの測定結果をRで計算する 2. 4パラメーターロジスティック回帰で吸光度から濃度を求める

0. はじめに

それでは、4パラメーターロジスティック曲線を描いて、回帰式からELISAの値を算出していきます。前回記事の続きです。

pediatricsurgery.hatenadiary.jp

この記事のコンテンツは

  1. 必要なパッケージのインストール
  2. ELISAデータをGitHubから入手する
  3. バックグラウンドの値を差し引く
  4. スタンダードの散布図を描く
  5. 4パラメーターロジスティック回帰の回帰式を求めて予測値を求める

となります。尚、本記事は前ブログの記事を大幅加筆修正したものです。前ブログでの誤りなども記載しておりますので、ご参考いただければと思います。

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ELISAの測定結果をRで計算する 1. 4パラメーターロジスティック曲線とは

ELISAの測定結果を求める時に、どうやっても検量線のR2が0.9前後になってしまって、なかなかいい値が出なくて困っていた時がありました。そもそもELISAの検量線はどう回帰させれば良いのか、実験を始めた当初はよくわかっていなかったので、同じ様な疑問を持っている方の1つの解決策になればと思って記事を書きます。

実際の計算法はこちら pediatricsurgery.hatenadiary.jp

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Gitのテクニカルタームのまとめ

はじめに

Gitという言葉をよく聞くようになり、ファイルを管理するのに便利そうだということはわかっていたのですが、Git特有の言葉が多く全体像をつかめずにいてなかなか導入できずにいました。Gitに関してはサルでもわかるGit入門というサイトが超わかりやすいのでおすすめです。完全にこちらのサイトの記載を自分のメモ用に箇条書きに直しただけなので、基本は上記サイトを参照下さい。

なぜGitを使いたいと思ったかですが、1つには研究で使用したRの.rmdファイルのバージョン違いが複数出てしまって、どのバージョンがどの記載をしてどんな変更を加えたか?ということが全然把握できない上に、同じようなファイルがたくさんできてしまってフォルダが美しくなくなってしまったから。もう1つには、主に臨床用のメモをテキストファイルとして保存してぱっと参照できるようにしているのですが、最近、markdownを使うようになったので、綺麗に表示できるサービスがあまりないのです。GitHubなどではmarkdownテキストを綺麗に表示できるため、使ってみたいと思いました。これを機にしっかりと勉強して使いこなしたいです。

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新生児の消化管出血の初期対応

はじめに

新生児の消化管出血 ( 吐血・下血 ) は頻度はあまり高くないが、緊急性を要することが多いです。兎にも角にも中腸軸捻転を否定することが重要ですし、できない場合は小児外科にコンサルトが絶対に必要です。さらっと初期対応のポイントをまとめてみました。大事なことは

  1. バイタルサインを見て晶質液のボーラス投与を躊躇しない
  2. 問診をしっかりとって原因を絞る
  3. 腹部膨満・胆汁性嘔吐・全身状態不良が1つでもあれば中腸軸捻転を考慮して小児外科コンサルト
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